ランチをテイクアウトをしたとき、店員さんの対応に、なんとも言えないモヤモヤを感じた話

ちょっとした言葉で変わる、人がモノを買いたくなる心理
こんにちは。フリーランスデザイナーゆみです。
先日通りを歩いていて、オープンしたばかりの飲食店に目がとまりました。
入り口には、黒板に白いチョークで書かれたおしゃれなメニューが並べられていました。

黒板に書かれた文字情報だけでは、商品の違いや、一品あたりのボリューム感もわからなかったので、店のドアを開け、カウンターにいた店員の方に「すみません、こちらのおすすめは何ですか?」と質問しましたのですが……。

そこで返ってきたのは「僕はお客様のライフスタイルを知っているわけではないので、おすすめは何ですか?と聞かれても答えられません。普段どんなお酒を飲んでいるかも知らないですし、どんな人とどんな過ごし方をしているのか、どんな料理が好きなのかもわからないですから」という言葉でした。

私は言葉に詰まり、自分の好みやライフスタイルを説明するのも面倒になってしまったので、じゃぁ、〇〇でいいです」と、黒板メニューから適当に選んだ品を注文してしまいました。

店の対応が間違っているとディスるつもりもなく、自分が正しいと言いたいわけでもありませんが、もっと満足度を上げるため、有意義な会話はできたはずだと思うと残念な気持ちが残りました。

質問の仕方を変えてみればよかったのかもしれない

つい、「おすすめは何ですか?」と聞いてしまったのですが、「一番売れているのはどれですか?」と聞くことで、答えは違っていたかもしれません。

私が知りたかったのは、その店の人気商品です。「おすすめは何ですか?」と似た質問ですが、私の個人的な好みや、ライフスタイルを考慮する必要がないぶん、相手も答えやすくなったかもしれないと考えました。

私が店員の立場だったらどんな答え方をしたか

逆に、もし私が店頭に立っていて「おすすめは何ですか?」と聞かれたら、何と答えたでしょう?

「普段お酒はどんなものを召し上がってますか?」
「ちなみに、自分ならワインに合わせるなら〇〇、ビールなら〇〇です」
「他にはどんなお料理と合わせる予定ですか?」
「好き嫌いやアレルギーなどはありますか?」
「一緒に召し上がる方は、お子様ですか?ご年配の方ですか?」
「軽くソテーして、〇〇のソースで食べると美味しいですよ」

など、お客様の希望を聞き出す質問や、提案を思いつくことができます。

答え方を変えると客単価を上げられる可能性がある

答え方を変えれば、お客様は自分の悩みをきちんと聞いて、受け止めてもらえたと安心します。

お客様の質問や相談に対して、理想的な提案ができれば、複数の商品をまとめ買いしていただける可能性もあり、結果的に客単価を上げることもできるでしょう。

自動販売機のように、言われたものをただ提供するのは受け身の販売方法です。要望を聞き出したうえで、選択肢を最適化し、情報整理をしてあげることが接客する側に必要なスキルだと思っています。

売り手の提案力やホスピタリティが、お客様の満足度やリピート率に影響してしまう可能性もあります。小さなコミュニケーションエラーで、販売機会を失わないようにするには

  • 質問に対する回答のボキャブラリーを増やしておく
  • 頭の中でお客様との様々なやりとりをシュミレーションしておく
  • あらゆるシチュエーションや、質問を想定しておけば、お客様ひとりひとりのニーズに合わせた回答をすることは可能なはずです。

    お客様が商品購入の決断にためらいを持ってしまうとき

    1. 人は選択肢が多すぎると選べなくなる
    2. 視覚的要素がない情報は、記憶したり、想像することが難しくなる
    3. 商品を選ぶため、専門家に相談する時間も楽しみのひとつ
    4. 納得感のある買い物は良い記憶として残り、また来店したくなる

    人は選択肢が多すぎると選べなくなる 「決定回避の法則」

    決定回避の法則とは

    社会心理学者のシーナ・アイエンガーさんの論文「選択と不満」のジャム実験によると、6種類のジャムと24種類のジャムを日にちを変えて試食させたところ、6種類のジャムの購買率は30%だったのに比べ、24種類のジャムを試食した人の購買率は3%だったという結果が出ました。

    「決定回避の法則」とは、選択肢が増えるほど人は決断できなくなるという心理です。

    黒板には沢山のメニューが並んでいました。
    文字情報のみから商品を頭の中でイメージし、何かひとつを選ぶというのは、その商品を熟知していない消費者にとって難しいものです。

    視覚的要素が選びやすさにつながる 「画像優位性効果」

    画像優位性効果
    画像優位性効果

    「画像優位性効果」とは、言葉で表示されるよりも、画像で見せられる情報をより簡単に理解したり、イメージでき、記憶に残ることです。

    今回のケースでは、黒板の文字情報だけでは、分量や、どんな品物なのかをイメージすることは難しく、写真で商品イメージが確認できれば、お客様は質問せずに、自分で考えて選ぶことができたかもしれません。

    少人数のスタッフで回している店舗であれば、調理、配膳、会計などのオペレーションに忙しく、一人ひとりのお客様への丁寧な対応は難しくなるかもしれません。
    わかりやすいメニュー作成が業務の効率化にもつながります。

    これはウェブサイトの設計にも通じることですが、2000文字のテキスト情報より、3分の動画のほうが伝わることもあり、効果的に画像や動画を用いることで、ユーザーの理解を早め、成約率を上げられる可能性があります。

    シンプルさや素敵さにこだわるあまり、ユーザーが情報迷子になってしまうと、大切な情報を伝えることができません。素敵な表現方法と、わかりやすい情報伝達は、自社のブランドイメージとバランスを取りながら、ユーザー目線で考えていくことも大切だと感じます。

    商品を選ぶため、相談する時間も楽しみのひとつ

    接客力を高めるために心がけたいこと

    SNSで情報をシェアする時代になり、ビジネスの成功の鍵は「共感」だと言われています。
    モノが有り余っている今、お客様は商品が欲しいのではなく、それを買うことで得られる体験を求めているとも言われます。

    食卓に並べる楽しさ、未知のものを味わう好奇心、その食卓を囲む仲間との楽しい時間。

    「食べる」という日常的な行動を、より豊かで特別な体験にできるのは、知識も経験もある専門家のアドバイスがあってこそです。
    それは、モノを買う以上の喜びを、お客様に提供できるでしょう。

    納得感のある買い物は良い記憶として残り、
    また来店したくなる

    フリーランスデザイナーになる以前、私は1足5万円以上する高級ブランド靴の販売していたことがあります。

    お客様と話をしていると、最初は「今日は買わないよ。見てるだけだから」と言い切られたお客様から「話しているうちに欲しくなってしまった。これください」と言われたこともよくありました。

    当時私は、靴を売るのではなく、お客様の悩みを解決するのが仕事だと考えていました。
    無理に売ろうとせず、お客様にとって有益な情報を提供しようとする姿勢を守り続けた結果、「あなたから買いたい」と指名される販売員になることが出来ました。

    1. 無理に売ろうとしない
    2. 価値ある情報を提供する
    3. 安心と信頼を積み重ねていく

    これは、あらゆるサービスに通じる「モノを売る技術」だと考えています。